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表題目次3.13.23.3.13.3.23.3.33.4.13.4.23.4.33.5

3.4.3 森林群落による炭素固定量および蒸散量の季節変化 本モデルによって算出されたCO2およびH2Oフラックスから、対象となった期間ついて炭素固定量および蒸散量を算出した。 図-3.12に各月の炭素固定量を示す。ただし、マイナスは呼吸などによる放出を表している。炭素固定のピークは、春期(1997年4月、0.39 tC ha-1 month-1)に見られ、夏期(1997年8月、-0.10 tC ha-1 month-1)には、マイナス値が算出された。 炭素固定量は、森林群落全体の光合成による固定量と、呼吸による放出の差である。数値実験では、仮想葉温度が大きくなる夏期において高温による光合成速度の低下および高温による呼吸量の増加が考慮され、それらが、算出されるCO2フラックスの値に影響を及ぼす結果となった。このため、仮想葉温度が高くなる夏期にはマイナスの炭素固定量が計算された。また、対象とした期間(1996年10月から1997年9月までの1年間)の炭素固定量は、2.4 tC ha-1と算出された。1994年11月4日および1997年5月15日の両日に行われた毎木調査によってSaito(1977)の方法を用いて算出された立木の現存量(地上部のみ)の一年当たりの増加量は、およそ0.9 tC ha-1である。したがって、本数値実験によれば、残差として、地下部の現存量の増加量、リターの増加量、渓流からの流出量が1.5 tC ha-1と計算され、非常に大きな割合を占めることになる。これらの測定データがないため明らかではないが、パラメータ決定の際にCO2フラックスの計算値と観測値の間に比較的大きな誤差が見られていることから、本数値実験による推定値はそれに対応する誤差を含むものと考えられる。 図-3.13 各月の蒸散量の変化 Change in monthly transpiration 図-3.12 各月の炭素固定量の変化 Change in monthly carbon assimilation 図3.13に各月の蒸散量を示す。4月〜8月には、36〜39 mm month-1とほぼ一定の蒸散量が計算され、11月に5.4 mm month-1ともっとも小さく計算された。また、対象期間(1年間)の総蒸散量は282 mmと算出された。対象となったヒノキ林を含む森林流域(5.99 ha)において報告されている1972〜1981年の平均年蒸散量は384.4 mmである(福嶌・鈴木, 1986)。ただし、対象期間が異なることと、対象とした森林の範囲が完全に同じでないことから、直接比較の対象とはならないと考えられる。本数値実験では、パラメータ決定の際にH2Oフラックスの計算値と観測値は良好に一致しており、対象とした範囲の森林における対象期間の年間蒸散量は、Fukushima(1988)が対象とした範囲の平年値よりも100 mm程度小さいものと推察される。


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田中広樹