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表題目次2.12.22.3.12.3.22.4.12.4.22.4.32.4.42.5.12.5.22.6

2.5.2 HYCYMODELを用いたシミュレーション 1) 観測降雨への流出応答 九連山とその他の流域の相違をより詳細に議論するため、表-2.4および表-2.5のパラメータを用いて、HYCYMODELによって11流域の流出量を計算した。モデルへの入力降雨は、全ての流域について、1990年に九連山で観測されたものと同一にした。裸地谷流域と竜王山流域におけるS1およびS2の値は、福嶌・鈴木(1986)および、福嶌ら(1992)によって得られた値をそれぞれ、用いた。各流域におけるポテンシャル蒸散速度は、それぞれ、原著によった。 九連山流域、国内の火山地域流域(磐梯山流域)、国内の古生層堆積物を基岩とする流域(梁ヶ谷流域)、国内の風化花崗岩を基岩とする流域(川向流域)のそれぞれにおけるHYCYMODELによるハイドログラフの計算結果を図-2.11に示す。九連山の場合、流出量が安定し、つまり、ピーク流出が小さく逓減ハイドログラフが穏やかである。磐梯山流域の場合、ピーク流出直後の逓減ハイドログラフが九連山よりも急である。磐梯山の基底流出ハイドログラフは九連山のものと類似している。梁ヶ谷流域の場合、ピーク流出が九連山に類似している。しかしながら、ハイドログラフの逓減は著しく急である。川向流域の場合、ピーク流出の割合が非常に大きく、ハイドログラフの逓減は非常に急である。基底流出、直接流出、蒸発、蒸散のそれぞれの割合を図-2.12に示す。九連山は低緯度に位置するため、蒸発散量の割合が日本におけるよりも大きい。全流出に対する基底流出の比を図-2.13に示す。九連山流域における比率は、堆積岩を基岩とする国内流域よりも小さく、風化花崗岩を基岩とする国内流域に類似している。 2) 積算降雨と積算直接流出の関係 各流域における直接流出の特性の相違を明らかにするために、HYCYMODELを用いて、降雨強度50 mm day-1の定常降雨を与えた場合の直接流出を計算した。図-2.14に積算降雨と計算され 図-2.11 HYCYMODELによってシミュレートされたハイドログラフ Hydrographs calculated using HYCYMODEL 図-2.12 降水量に対する各水収支成分の比率 Ratio of each component to the precipitation 図-2.13 基底流出と直接流出の比率 Ratio of base flow and storm flow 図-2.14 積算降雨と積算直接流出の関係 Relationships between accumulated rainfall and accumulated storm flow た積算直接流出の関係を示す。初期条件は、図-2.4における全てのタンクを空と仮定した。九連山の積算直接流出は、風化花崗岩を基岩とする国内流域よりも少なく、むしろ、古生層堆積岩を基岩とする国内流域および、火山地域の国内流域に近く、特に梁ヶ谷流域と磐梯山流域に類似している。積算降雨170 mm以下では、磐梯山流域における関係が最も九連山における関係に近い。しかしながら、積算降雨が170 mmを超えると、九連山流域における積算直接流出は急激に増加する。積算降雨170 mm以上での傾きは、むしろ、古生層堆積岩を基岩とする国内流域におけるものに近い。 3) シミュレーションによる逓減曲線 図-2.15逓減曲線 Recession curves 基底流出の逓減特性を明らかにするため、流出量10 mm day-1を初期値として与え、逓減ハイドログラフの計算を行った。この際、蒸発散はゼロと仮定した。シミュレーションの結果を図-3.15に示す。九連山における逓減曲線は、国内の火山地域におけるものに近く、風化花崗岩あるいは古生層堆積物を基岩とするその他の流域におけるものよりも緩やかである。


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田中広樹