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表題目次4.14.24.3.14.3.24.4

4.3 結果と考察

4.3.1観測の結果

図-4.3〜図-4.6に渦相関法を用いて算出された運動量フラックス、顕熱フラックス、潜熱フラックス、CO2フラックスの変化を示し、また、図-4.7〜図4.11に日射量、風速、気温、大気水蒸気圧、大気CO2濃度の変化を示す。ただし、運動量フラックスは摩擦速度の二乗(u*2, m2 s-2)として次式で計算したものを示している。

(4.5)

図-4.3 観測された運動量フラックスの変化 Change in observed momentum flux 図-4.4 観測された顕熱フラックスの変化 Change in observed sensible heat flux 図-4.5 観測された潜熱フラックスの変化 Change in observed latent heat flux 図-4.6 観測されたCO2フラックスの変化 Change in observed CO2 flux 図-4.7 観測された日射量の変化 Change in observed solar radiation 図-4.8 観測された風速の変化 Change in observed wind speed 図-4.9 観測された気温の変化 Change in observed air temperature 図-4.10 観測された水蒸気圧の変化 Change in observed vapor pressure 図-4.11 観測された大気CO2濃度の変化 Change in observed atmospheric CO2 concentration

停電や測定機械メンテナンスなどによる欠測が数度あるが、1997/8/17-8/30、1998/5/15-7/23のそれぞれ15日間と70日間、ほぼ連続してフラックス変動が算出できた。これらのフラックスは、外的な環境条件が顕著に変わらないと考えられる数日程度の期間では、ほぼ一定の日変化を繰り返すと考えられる。変化を定性的に概観するために、長期に渡るこれらのフラックスの経時変化は、数日程度について、同時刻における平均値を算出し、平均日変化として示すこととする。本研究では、平均区間を5日とした。

図-4.12に、5日平均の運動量・顕熱・潜熱・CO2フラックスの日変化の推移を示す。運動量フラックスは、日中に大きく、夜間に小さい。また、5月に比較的大きな運動量フラックスが見られた。顕熱フラックスは、日中に200〜400W m-2程度になるが、全観測期間を通じて、大きな変化は見られなかった。潜熱フラックスは、5月に非常に小さく、5月末から6月の上旬に増大した。また、1997年の8月には、比較的小さな値となった。 CO2フラックスは、光合成によるCO2吸収が大きいほど、下向き、すなわちマイナスの値をとる。潜熱フラックスと同様に、5月にはCO2フラックスはほとんど見られないか、わずかに上向きであった。5月末から6月の上旬に、下向きフラックスが増大し、夏期には、-0.5mg m-2s-1と大きな下向きフラックスが見られた。

図-4.12 5日平均された運動量、顕熱、潜熱、CO2フラックスの日変化の推移 Variation in mean diurnal change for 5 days of momentum, sensible heat, latent heat and CO2 flux

図-4.13にフラックスと同様に、5日平均した日射量、風速、気温、大気水蒸気圧、大気CO2濃度の日変化の推移を示す。日射量のピークは6月上旬および中旬におよそ800W m-2と大きくなる。また、観測地は北緯62度と高緯度であるため、夏期の間は、日照時間が非常に長いことが分かる。風速は、2〜4m s-1と比較的弱く、顕著な経時変化は見られなかった。気温は、1998年5月の測定開始ごろの0℃前後から、6月下旬および7月には、30℃近くまで変化している。夏期には、日変化が非常に大きく、日格差が10℃以上となった。水蒸気圧は、気温の変化に伴った季節変化が見られるが、気温のような大きな日変化は見られなかった。大気CO2濃度は、5月から6月にかけて約360mmol mol-1から約340mmol mol-1へと減少し、夏期、340mmol mol-1程度の濃度が維持された。また、5月および6月の上旬には、日変化がほとんど見られないが、6月中旬以降は、夜間に濃度が増加して早朝に最大となり、日中に減少して午後に最小となる日変化が明瞭に見られた。

図-4.13 5日平均された日射量、風速、気温、水蒸気圧、大気CO2濃度の日変化の推移 Variation in mean diurnal change for 5 days of solar radiation, wind speed, air temperature, vapor pressure, atmospheric CO2 concentration

CO2およびH2O交換量の季節変化と収支を得るために、図-4.12に示した5日平均されたCO2およびH2Oフラックスの日変化から、5日間毎に日単位のCO2およびH2O交換量を算出した。図-4.14にそれらの変化を示す。5月から7月までの値は、1998年の観測より求められ、8月の値は1997年の観測より求められたものである。CO2交換量は、光合成による大気からの吸収量と呼吸による放出量の差、すなわち純光合成量(=-Fc)である。光合成活動がほとんど起こっていないと考えられる開葉前には、炭素収支は0.02 tCO2 ha-1 day-1と、呼吸によるCO2の大気への放出が見られた。開葉が起こったと考えられる5月末から6月上旬に、急激に光合成量が増大し、6/9-6/13の5日間には-0.15 tCO2 ha-1 day-1となった。その後、その絶対量は8月まで徐々に減少した。蒸散量を表すH2O交換量は、開葉前には0.5 mm day-1と非常に小さく、光合成活動と同様に、開葉が起こったと考えられる時期に急激に増大し、開葉完了直後(6/9-6/13)には、2.5 mm day-1となった。その後、変動しながら、8月まで、ゆるかやに減少した。



図-4.14 5日平均のCO2およびH2O交換量の変化
Change in mean amount for 5 days of CO2 and H2O exchange

また、CO2とH2Oの収支は、それぞれ、5/15-7/23の70日間では、-5.5 tCO2 ha-1(-1.5 tC ha-1)、116 mm、8/16-8/30の15日間では、-0.55 tCO2 ha-1(-0.15 tC ha-1)、9 mmであった。また、観測されていない7/24から8/15の期間について、7/19-7/23と8/16-8/21の平均値を内挿し、5/15-8/30の108日間について同様に収支を算出した。その結果、CO2交換量は、-7.6 tCO2 ha-1(-2.1 tC ha-1)、H2O交換量は、153 mmとなった。


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田中広樹